独立開業した訳 19 Feb. 2025

相談したほぼ全員が反対でした。
大学卒業後20年以上務めた大手外食企業を退職して生まれ育った会津若松に約30年振りに戻り、同じ市内で創業100年以上続く親戚が経営する老舗宝飾店で承継者として入社して7年。
何もわからない、経験がモノをいう宝飾業界で、逆に業界に染まっていない新鮮な目線から、ブライダル担当の営業部長として業績を上げ続けることに貢献してきました。
反対されるのは当たり前でしょう。地域密着で3代にわたって地元で長く商売をし、地域一番店として会津地方での認知は抜群。このまま今来ているお客様を引き継ぎ自分のお客様を増やしていけばいいのですから。
新規参入で一番大変なのはどんなお店でどこにあって何を売っている、という認知なので、その点恵まれていたんです。
しかしながら日々ブライダルの接客をする中で、お客様の人生で最高に幸せな瞬間の1つの時間に携われるというやりがいとともに、ある種の違和感を感じていました。
ブライダルというのは言うまでもなく、結婚という人生の節目のスタートに携わる仕事です。しかしながら3組に1組は離婚をするという現実。
ニュースで子供の虐待や貧困に関する様々な報道を目にする度、子を持つ親としていつも胸を痛めていました。日本の子供の貧困率は11.6%(2022年国民生活基礎調査)で、貧困に苦しむ家庭の多くの要因がひとり親世帯なんです。
ブライダル担当として7年間で1000組以上のお客様に接する中で、このひとり親世帯が発生する主な理由は離婚であり、その入り口の結婚に携わる者として何とか役に立つことは出来ないか、と常に考え違和感を覚えていたんです。
離婚の原因の4割が価値観の違い(ブライダル総研調査)で、期間で一番多いのが結婚5年以内(同)とのことであり、指輪選びをきっかけにお互いの幸せの価値観を共有することができれば、その指輪が二人をずっと結びつけるものになり離婚を減らすことができる、まさにそれが私に出来る事と思いました。
私の仕事がこの私が住んでいる会津地方で、仲の良い夫婦を一組でも増やし、離婚しないことでひとり親世帯を減らし、少しでも子供の貧困問題の解決につながればこんなに素晴らしいことはありません。
これが私の仕事の存在意義であり、残りの人生を掛けるに値する仕事と思いました。
一人の親として、次世代を担う人たちの役に立ちたい。
ブライダルに特化することで1人(1組)のお客様に今まで以上に寄り添い、きめ細かいサービスが提供出来、幸せになる「約束の証」である指輪の存在意義が高まり、お客様の幸せへの思いをカタチにするお手伝いがもっと出来るようになると考え、承継で招いてくれた前職の社長に、思いを伝えたところ、快く独立を認め、応援してくれて開業するに至ったわけです。